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新医師臨床研修制度における地域保健・医療研修の中でも,とりわけ保健所の業務上,非常に重要な方略のひとつに結核・感染症対策があります.当該研修の一般目標(GIO)として,甲賀保健所では「医師として結核・感染症の発生予防および感染拡大を防止するためのしくみを理解するため,関係法規を知り,結核・感染症発生時およびその後の対応を適切に行えるようにする」ことを掲げています.そして,その一般目標を形成する行動目標(SBO)を達成するための具体的な方略として,①エイズ等性感染症の相談・検査,②感染症発生動向調査の報告・還元および感染症情報センター(滋賀県衛生科学センター)での現場研修,③地域における結核対応の実際から学ぶ,といった研修メニューを入れています.
特に③については,結核患者の発生届の受理から感染症(結核)診査会での諮問ならびに結核公費負担事務と結核患者管理に至る一連の流れを学ぶことになります.甲賀保健所では原則,研修医自らが感染症(結核)診査会で,研修期間中(1か月間)の全症例について実際に諮問してもらっています(写真1).業務として諮問する以上,責任のあるプレゼンテーション(以下,プレゼン)が求められます.だからこそ,感染症(結核)診査会に臨む前までには,必ず事前に保健所長である私と結核の担当者を交え,実際のX線フィルムを前にして,「プレ」プレゼンを行っています(写真2).その「プレ」プレゼンの場では,感染症予防法37条(入院)および第37条の2(外来)の適応の違いや,抗結核薬における標準治療法について学べる機会としています.さらに胸部X線写真の読影や結核病学会の学会分類についても症例から学べるよう工夫をしています.そして関係法規や社会医学的な視点でディスカッションをしながら,学習できる機会としています.
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