連載 研修医とともに学ぶ・5
この子ら「を」世の光に~近江学園での宿泊研修~
嶋村 清志
1
1滋賀県甲賀保健所
pp.670
発行日 2008年8月15日
Published Date 2008/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101391
- 有料閲覧
- 文献概要
甲賀保健所管内(滋賀県湖南市)には,知的障害者の父とも言われる「糸賀一雄」先生(写真1)ゆかりの児童福祉施設「近江学園」があります(写真2).そもそも近江学園は戦後の混乱期,昭和21年に大津市の南郷に,糸賀先生らによって知的障害児や孤児の収容施設として創設されたものです.昭和23年,児童福祉法の施行に伴い県立の児童福祉施設となり,昭和46年に現在の湖南市に移転しました.
私が,近江学園での研修を重要視している理由は,糸賀先生が生前に残されたラストメッセージ「この子ら“に”世の光でなく,この子ら“を”世の光に」という,糸賀思想を現在まで継承している施設のひとつであるということです.ただ単にサービスを受けるだけの受身的な“に”でなく,一人ひとりの存在そのものが光り輝く存在でなければならない,という「この子ら“を”世の光に」という思想です.甲賀は福祉の先進地と言われる所以がここにあります.そして,先人の思想を継承することはとても大切なことだということも知ってほしいのです.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.