連載 衛生行政キーワード・46
子どもの心の診療
小林 秀幸
1
1厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課
pp.671-673
発行日 2008年8月15日
Published Date 2008/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101389
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子どもの心の診療の充実の必要性
近年,少子化,家族形態の変化,高度情報化等,子どもやその家族を取り巻く環境が急速に変化しつつあり,こうした中で,子どもたちの中には,遊ぶことができない,落ち着きがない,過敏である,こだわりが強い,どことなく対人関係がぎこちないといった,いわゆる気になる子どもが著しく増加していると指摘されている.また,児童虐待,学級崩壊,不登校,いじめなど,子どもの心に影響する多様な問題事象が増加しており,「子どもの心の問題」への医学的対応の充実が求められている.一般の小児科や精神科の日常診療においても,子どもの心の問題の診療が必要とされる一方で,近年は,子どもの心の問題に関する状況は複合的に深化しており,医学的診断・治療についてもより難易度の高い専門的な技術が必要となってきている.
しかしながら,子どもの心の診療を専門的に行うことのできる医師や医療機関は限られており,医療機関で診察を受けるまでに数か月以上の待ち時間を要する例がある等,心の問題を持つ親子が早い段階で,身近な地域において専門的診療の機会を得て,必要な治療を受けられる状況とはなっていない.
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