連載 PHNに会いたい・6
新潟県 2つの大震災と合併の余震が続く中で(下)―震災と合併,地域共同体を守ることはできるか
荘田 智彦
,
山田 春美
1
,
宮川 由紀子
1
,
高野 真弓
1
,
加藤 梢
1
1長岡市小国支所保健福祉課
pp.154-160
発行日 2008年2月15日
Published Date 2008/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101263
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中越地震(2004.10.23),中越沖地震(2007.7.16),3年足らずの間に2回も大きな地震災害を蒙った新潟県中越地帯でした.この未曾有の経験から私たちが公衆衛生で学ぶことは何か,前号では同じ自然災害でも2つの地震には明確に質の違う問題が横たわっていたことを原発被災という観点から考えました.これについては本稿の最後でもう一度触れるつもりですが,もう1つの大きな問題が大震災と重なって地域住民の生活を根幹から覆そうとしていました.それは,過疎化と超高齢化の進む農山村にあって,住民同士の生き残るための支え合い,共同体的紐帯が,ここに来てどこもここも大型合併の津波に飲み込まれ,根こそぎ持って行ってしまわれそうになっていることです.
私たちは前回の中越地震で教えられた,地域住民同士の自助共助公助,地域共同体のつながりの強さがいかに大切か,保健師の地域住民に密着した平時の活動が災害時にいかに役立ったかを繰り返し報告してきましたが,この3年の間に,住民同士にも住民と保健師の間にも微妙に変化している涼風,温度差のようなもの,それが留めようのない空気として広がっているように思えてならないのです.
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