特集 現代の危機管理
大震災の経験を生かして—兵庫県
後藤 武
1
,
田村 賢一
2
1兵庫県保建部
2兵庫県保健部医務課(災害救急医療システム整備)
pp.896-900
発行日 1997年12月15日
Published Date 1997/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901801
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人知を超える大自然の力をあらためて認識させられた阪神・淡路大震災.安全神話を盲信し防災対策や危機管理体制が十分でなかったことなど,われわれはかつてない大都市直下型地震から,多くの反省と数々の貴重な教訓を学んだ.医療面では,傷病者の治療にあたるべき医療機関が,建物やライフラインに相当の被害を受けただけでなく,未曾有の交通渋滞が,職場へ駆けつけようとする医療従事者の行く手を阻んだ.
被災地域の全医療機関を対象に実施した「兵庫県災害医療実態調査」によると,ライフラインの確保や医薬品の備蓄など事前の備えをとっていた医療機関が少なく,また,医療需要の急増に対応できる体制などが不十分であった事実が明らかとなった.同時に,電話回線の輻輳などにより,救急車やヘリコプターによる傷病者の搬送が円滑に行えなかったことも確認されている.
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