Japanese
English
特集 大震災と循環器・呼吸器疾患
大震災と高血圧
Disaster and Hypertension
西澤 匡史
1,2,3
,
星出 聡
3
,
新保 昌久
3
,
苅尾 七臣
3
Masafumi Nishizawa
1,2,3
,
Satoshi Hoshide
3
,
Masahisa Shimpo
3
,
Kazuomi Kario
3
1公立志津川病院
2公立南三陸診療所
3自治医科大学循環器内科
1Shizugawa Public Hospital
2Minami Sanriku Medical Clinic
3Department of Cardiology, Jichi Medical University
pp.925-932
発行日 2012年9月15日
Published Date 2012/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102044
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はじめに
筆者は東日本大震災発生時,津波により壊滅的な被害を受けた南三陸町の公立志津川病院に勤務しており,震災直後より災害医療の陣頭指揮を執り,現在も震災後町内に開設された公立南三陸診療所および町外に開設した公立志津川病院で医療を行っている.
ところで,災害医療における大きな目的は「災害関連死を減らすこと」と「平時の医療体制に戻すこと」の2つである.災害関連死の原因は呼吸器疾患および循環器疾患が大きな割合を占めており,これらの疾患の発症を予防することが災害関連死を減少させるのに大きく貢献するといってよい.循環器疾患が引き起こされるメカニズムは,「血圧の上昇」と「血栓傾向」の2つである.災害医療ではこのメカニズムを理解したうえで,各要因に対して改善策を行うことで,リスクを減少させることが期待できる.
今回は災害時の循環器疾患の特徴,発生機序について概説したのち,循環器疾患発症の原因の一つである「血圧上昇」に注目し,災害高血圧についてその特徴,発生機序や治療法,予防対策について解説する.
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