特集 公衆衛生が進めるリプロダクティブ・ヘルス/ライツ
対論―ピル問題―②[反対派]ピルの安全性は2つの視点から再検討の必要がある
武田 玲子
1
1クリニック玲タケダ
pp.118-120
発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100804
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この論は2つの視点に立つ.第一は,従来公正なものと考えられてきた科学や医学の視点が,研究者のよって立つ,財政的基盤などと無関係ではないこと.第二は,環境ホルモンの研究の成果によると,ピルなどのホルモン薬の安全性は根本から考え直さなければならないということである.これらはこれまで多く論じられてきたリプロダクティブ・ヘルスの問題について,異なった,より深い視点からの再考を迫る.
医学論争
1. 研究者の出す結論は,研究者の利害と無関係ではない
近年,『Nature』1),『New England Journal of Medicine』2)などの有力科学誌,医学誌が論文を掲載する著者に対し,利害の摩擦がないか(製薬会社などから資金援助を受けていないか)を提示し,財政的基盤を明確にするよう求める方針を決定した.製薬会社やタバコ会社の資金援助を受けた研究の多くは,その会社の利益になる結果を出しているということが判明している3).ピルについての研究もバイアスがかかっている.
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