特集 公衆衛生が進めるリプロダクティブ・ヘルス/ライツ
日本におけるリプロダクティブ・ヘルスの歴史
迫田 朋子
1
1日本放送協会(NHK)
pp.113-115
発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100802
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新しい言葉を取り入れることが得意だと言われるメディアにおいて,リプロダクティブ・ヘルスという言葉ほど,なかなか定着せず,伝えるのに難しい言葉はないように思う.文字数が多いこともあるし,いい翻訳語がないことや,そもそもリプロダクション(生殖)という言葉になじめないことも理由であろう.
リプロダクティブ・ヘルスという概念は,1988年WHO(世界保健機関)のファサラ氏が提唱し,WHOの健康の概念をリプロダクションにもあてはめたと言われている.カイロの国際人口開発会議では「人々が安全で満ち足りた性生活を営むことができ,生殖能力を持ち,子どもを持つか,何人にするか,いつ産むかを決める自由を持つこと」としている.厚生労働省の「生涯を通じた女性の健康施策に関する研究会報告書」には「子どもを産む,産まない,産むとすればいつか,何人産むかを女性が自己決定する権利を中心課題として,広く女性の生涯に亘る健康の確立をめざすもの」と書かれている.
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