特集 公衆衛生が進めるリプロダクティブ・ヘルス/ライツ
不妊と「自己決定」
佐藤 孝道
1
1聖路加国際病院産婦人科・生殖医療センター
pp.108-112
発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100801
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「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」は,1994年の国際人口開発会議(カイロ会議)や,1995年に北京で開かれた第4回世界女性会議(北京会議)で話題となった.その後,「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」は,わが国の「男女共同参画2000年プラン」にも盛り込まれている.
「リプロダクティブ・ヘルス」とは,「生涯にわたる女性の健康」,「リプロダクティブ・ライツ」とは「からだと性に関する女性の権利(自己決定権)」と理解されている1).
「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」に異論を唱えるものはいないだろう.しかし,不妊治療の現場から見る限り,この概念について解決されていない(コンセンサスが得られていない)問題も多いし,何よりも不妊患者の目にはSFフィクション以上に「自分たちには関係がない言葉」に映る現実がある.本稿では不妊治療の現場を紹介しながら,主として「リプロダクティブ・ライツ」にどのような問題があるのか,どんな展望があるのかを検討する.
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