特別寄稿
リプロダクティブ・ライツ/ヘルスをめぐって
船橋 邦子
1
1佐賀県立女性センター
pp.583-588
発行日 1995年7月25日
Published Date 1995/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611901284
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はじめに
リプロダクティブ・ライツ/ヘルスという言葉はご存知のように昨年9月,カイロで開かれた「国際人口・開発会議」を契機に日本でもにわかに注目されるようになりました。
訳語は「性と生殖の権利,健康」,いや「性」という言葉が先にあるのではなく「生殖と性と権利,健康」のほうが人びとにとって受け入れやすいのではという政府の議論があり,結局後者に落ち着いたようです。しかし,私にはこの訳語も正直いうと,いまひとつよく理解できません。ただ1994年初め,カイロ会議の準備段階で日本政府は「リプロダクティブ・ライツ/ヘルス」を「妊娠と出産の権利/健康」と訳しました。これでは“子どもを産まない女性”“思春期”“更年期”の女性の権利・健康は含まれない,これは女性の一生を通じて,性のあり方も含む健康の幅広い問題であるということで,先の訳語となったいきさつがあります。
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