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日本の社会において少子高齢化の急速な進行が予想されており,老年人口(65歳以上)とそれを支える生産年齢人口(15~64歳)の比は,現在(2005年)の1対3.3人から,10年後(2015年)には1対2.4人に,20年後(2025年)には1対2.1人になると見込まれている.高齢者が生きがいを持ちながら安心して暮らせる社会づくりは重要な課題である.
このような事情は日本以外の先進諸国においても変わらず(図)1),その国なりの背景や状況に基づいた高齢者対策が進められている.他国の実状を知ること,特に現場で働く人たちがどのような目標を掲げ,どのように取り組み,どのような問題を抱え,どのように解決しようとしているかを知ることは,相互の理解を深めるだけでなく,自身の問題解決の糸口を得られる可能性もあり,将来の方向性を検討する上で有意義である.
そこで,2006年5月31日,モントリオール日本月間 05 2006実行委員会主催による「日・ケベック社会問題対話」シンポジウムが開催された.モントリオール市内のマギル大学Faculty Clubを会場として,医療関係者や一般市民を含めた100名以上が集まり,「高齢化社会の問題と対策」をテーマとして公開討論が行われた.日本側とカナダ(ケベック州)側の各10名のシンポジストは,大学,地方自治体,保健医療施設,その他第一線で働く医師,看護師,保健師,理学療法士などから選ばれ,既存の政府レベルや学術レベルの交流でなく,現場で働く人たちのネットワークづくりの契機として企画された.
本稿では,シンポジウムの概要を報告して,日本とカナダの高齢社会に向けた取り組みについて考察する.
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