特集 小児科医のキャリア・デザイン~「こども臨床」の魅力を語る
さまざまな活躍の魅力を語る~各論②
WHOなどの国際活動
堀越 裕歩
1
HORIKOSHI Yuho
1
1東京都立小児総合医療センター感染症科,免疫科
pp.125-127
発行日 2024年1月1日
Published Date 2024/1/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001481
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WHOに行くまで積み上げたキャリア
将来,開発途上国で国際貢献がしたくて,医学部を志しました。在学中もバイトをしてお金を貯めては,世界を見たくてバックパッカーとして旅行をしていました。2001年に卒後進路は,国際貢献をするには幅広い医療を身につける必要があると思って,スーパーローテート研修で有名な沖縄県立中部病院でキャリアのスタートを切りました。2年目に米国から来た指導医で小児精神科の先生がカンボジアのアンコール小児病院で勤務していたこともあって,紹介してもらい,2年間の研修が終わるとカンボジアに行きました。日本では経験がなかったHIV/AIDS,結核,マラリアなどの小児患者を診て,感染症に興味をもちました。その後,国立成育医療研究センターの総合診療部で小児科専門医を取得,ラオスでの医学研究にもかかわりました。当時,小児感染症の道に進もうと決めたとき,集約的に研修を受けられる環境が日本になく,カナダのトロント小児病院の感染症科に2年間,臨床留学をしました。その後,東京都立小児総合医療センターで新しく感染症科を立ち上げるために帰国しました。そこでもNGOでアフリカのケニアに行くなど,細々と国際医療活動は続けていました。感染症科の後進も育って軌道に乗ってきた矢先に,大病を患い手術を受けました。幸い治療はうまくいき,健康なうちに医師を志した初心の国際貢献をフルタイムでしてみたいと思いました。卒業して18年目の2019年に,ほぼすべての国内の職や学会などの役職を辞して,WHOでナイジェリアの感染対策に従事することにしました。
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