連載 世界を見て,日本を見る.Public Health Opinion・12[最終回]
WHO発「世界を見て,日本を見る」
神馬 征峰
1
1東京大学大学院医学系研究科国際地域保健学教室
pp.999-1001
発行日 2004年12月1日
Published Date 2004/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100533
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注目のWHO
昨年来,世界保健機関(WHO)が注目を浴びている.本誌2003年11月号の特集号(67巻11号),“検証「SARS」”でも述べられているように,「WHOを中心とするかつてない国際協力態勢が,病原体の迅速な発見や国境を越えての技術協力を可能にしたこと」は,SARSを世界的に封じ込めた成功要因の1つとなった1).
また昨年5月21日には,WHO事務局長として韓国の医師,李鍾郁(Jong-Wook Lee)博士が選出された.20年間のWHO勤務経歴を持つベテランである.ハンセン病対策の専門家としてWHO勤務を始めた李医師は,世界の健康格差の問題解決に意欲を示している.世界最大の公衆衛生課題の1つであるエイズ対策としては,2005年末までに300万人の感染者が抗レトロウイルス治療を受けられるように,「3×5戦略」を積極的に進めようとしている2).2004年に入ってからは,鳥インフルエンザの流行に対するWHOの対策がどれだけうまくいくのか,注目を浴びているところである.
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