特集 検証「SARS」
世界の状況とWHOの対応
押谷 仁
1
1世界保健機関(World Health Organization: WHO)西太平洋事務局
pp.820-825
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100959
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Severe Acute Respiratory Syndrome(SARS)は,21世紀に入って最初の新興感染症であった.2002年末に中国南部で始まったと考えられているSARSの流行は,香港を経由して,航空機によって,またたく間に世界各国に広がった.各国が積極的な対策をとったことにより,新たな感染者の発生は抑えられ,2003年7月初めにはすべての地域での封じ込めに成功した.しかしSARSウイルスは自然界のどこかに今も存在していると考えられ,この冬にも再出現する可能性が指摘されている.また,さらに新たな世界規模の新興感染症が出現する可能性もある.このSARSの流行は,グローバリゼーションの進展した世界での感染症対策の難しさを浮き彫りにした.
本稿ではSARS流行の経緯と,これまでの世界保健機関(World Health Organization,以下WHO)の対応について総括したい.
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