連載 New Public Healthのパラダイム―社会疫学への誘い・11
社会疫学の課題(1)―基礎科学としての社会疫学
近藤 克則
1
1日本福祉大学社会福祉学部
pp.893-897
発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100508
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ある研究分野を煉瓦(レンガ)造りの建物に例えれば,個々の実証研究は1つの煉瓦にあたる.大きな建物を作るためには,材料となる1つ1つの煉瓦がしっかりとしていることは重要である.しかし,それだけでは十分ではない.見取り図や設計図に当たる理論や仮説体系なしに,思いつきで煉瓦を積み上げたのでは,煉瓦の山はできても,人が住んで使えるような建物にはならないからである.
本連載は,社会疫学という新しい研究分野について実証研究を紹介しながら,その見取り図となるような仮説体系を描く試みであった.今後,研究分野として確立するためには,良質な実証研究(煉瓦)をさらに積み重ね,理論・仮説(設計図)も修正・発展させなければならない.
その知見が活用され,人々がその恩恵を受けるまでの道のりは遠く,その過程で乗り越えるべき課題も多い.
本連載も残すところあと2回となった.社会疫学の2つの課題を2回に分けて考えたい.
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