特別寄稿
地域におけるスピリチュアルケア実践最前線―保健・医療・福祉の連携と心のケア
大下 大圓
1
1飛騨千光寺
pp.630-633
発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100445
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スピリチュアルな痛みとは
私は現在,飛騨高山にある真言宗千光寺の住職をしています.その傍ら,市内の高桑内科クリニックでスピリチュアルケア(心,たましいのケア)ワーカーとして,ベッドサイドで傾聴活動を行っています.単なるカウンセリングではなく,医療スタッフと連携して,患者さんや家族のケアにもあたる存在です.私が僧侶でありながら医療や福祉の現場で活動するのは,臨床で苦しむ人との心の交流があったからです.
ある日「オレは死にたい!」と60代の患者・山田亮介さん(仮名)は訴えられました.僧侶として初めて一般病院へ行き,ベッドサイドのボランティアを始めたばかりの時でした.「こんな状態で生きていても人間やない,死んだほうがましや!」.
山田さんは「ロックドインシンドローム(施錠症候群)」と言い,病院のベッドで体が全く動かせない患者さんでした.43歳の時に自動車の自損事故で首の骨(頸椎)を損傷して,四肢麻痺の状態となってしまったのです.
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