特別寄稿
原因不明の「症候群」に環境病の疑いを―線維筋痛症候群,慢性疲労症候群と化学物質との接点
水野 玲子
1,2
1こどもの体と環境を考える会
2カネミ脂症被害者支援センター
pp.634-637
発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100446
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無数の化学物質に日常的に曝露されている現代人にとって,化学物質が健康に及ぼす影響は重大な問題である.それらを漠然と「環境病」1)と呼ぶ動きもあるが,健康被害の原因として複数の化学物質が疑われても,単一物質を特定することはほとんどの場合困難である.
その状況のもとで,最近社会的広がりが注目されているのが“化学物質過敏症(Multiple Chemical Sensitivities: MCS)”2,3)である.MCSとは,何らかの化学物質を大量に体内に取り込んだり,微量だが長期間にわたって取り込んだ後に,きわめて低濃度でも様々な化学物質に敏感に反応するようになり,他器官,多症状に特徴づけられる慢性的疾患である.
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