連載 インタビュー・住民VOICE・10
公衆衛生の課題としての「事故予防」
今井 博之
1
,
反町 吉秀
2
1吉祥院こども診療所
2国立保健医療科学院専門課程
pp.66-67
発行日 2004年1月1日
Published Date 2004/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100348
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反町 今井さんは,小児科医としての忙しい日常診療にもかかわらず,交通事故の防止や公園の遊具関連の事故防止など,子どもの事故予防活動に取り組まれています.これまでに取り組んでこられた予防活動をご紹介いただけませんか.
今井 子どもの安全ネットワーク・ジャパン(SKNJ)は1997年に設立された非営利組織で,主にチャイルドシート(以下CRSと略)着用の啓発活動を行ってきました.現在は医師や看護師など保健医療関係者を中心に,約130名の会員がいます.設立のきっかけは,まず米国で長らく研究された新田文輝教授(吉備国際大学)が,米国では常識となっているCRSが日本ではほとんど着用されていない現状に驚いて,啓発活動を提唱し始めたのですね.米国では20年以上も前からCRS着用が法的に義務付けられ,出産して退院する新生児にはチャイルドシートを着用しないと退院させないというシステム(First -Ride Safe -Ride)ができあがっています.京都で産婦人科医院を開業している伊藤将史医師は,このシステムの実践を自らの病院で開始したのですが,これは画期的なことでした.私は,子どもの事故予防に関心があり,世界では常識になっているCRS着用がなぜ日本では20年以上も無視され続けているか,という問題意識で,「CRS着用は子どもの事故防止にとって重要な課題である」という論文を1996年に小児科の雑誌に書いていました.後にSKNJを知り,一緒に活動をしています.
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