特集 公衆衛生今後の方向
公衆衛生今後の課題
福井 忠孝
1
1徳島大学公衆衛生学
pp.10-11
発行日 1963年1月15日
Published Date 1963/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202616
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戦後のわが国公衆衛生の発達は顕著なものがあり,国民皆保険の段階となり一段と進歩発展しなければならない時機にある。したがって今後の公衆衛生は新機軸を開く必要がある。
過去15年間を全国的にみて地域差が人間のあらゆる面で著しくなってきた。公衆衛生の分野においても生活条件の相違が疾病罹患,死亡,出生,子供の発育等に著しい地域差を生ずるに至った。その状態は恰も日本人の人間改造実験を行なっているようなものである。戦後ビタミン剤の発達とともに強化食品の発達はわが国民食の欠陥であるビタミン欠乏をおぎない,各種薬剤並びに予防接種の発達は結核を始めとし伝染性疾患に効果をあらわしており,さらにアミノ酸剤の利用は蛋白質の栄養価を高め,発育と健康の増進が期待されている。
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