調査報告
島根県の離島における救急事故の実態と公衆衛生活動の課題
山根 俊夫
1
,
佐倉 真喜子
2
,
徳若 光代
2
,
林 清子
3
,
藤井 和枝
2
,
岩野 真保
4
1島根県能義保健所
2島根県黒木保健所
3島根県雲南保健所
4島根県出雲保健所
pp.658-662
発行日 1991年8月10日
Published Date 1991/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900293
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はじめに
島根県隠岐の島は,本土から44kmはなれ,海上路で約3時間を要する離島である。島民の最大の不安は医療であり,とりわけ救急医療問題である。近年,医療に対する住民の要望は,町村,県,各大学などの協力と第一線医師の活躍などにより次第に充実してきた。しかしながら,第二次医療,第三次医療による救急医療体制は,離島という物理的条件により,広域医療体制に依存せざるを得ず,保健・医療の連携による日常的救急医療事故防止体制,患者の医療情報の分析にかんする高度情報化システム,患者緊急輸送体制と受け入れ体制,これらのシステム維持に要する予算,マンパワー確保などあらたな質をもった問題の解決に迫られている。
我々は,新しい公衆衛生の機能を現場から検討し,総合保健活動の1つの要素である保健と医療の連携にかんする基礎的データを得るため,離島における過去の救急事故の分析を行ない,21世紀に向けての公衆衛生の課題を明らかにしようと試みた。
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