調査報告
インド・デリー市スラム地区における妊婦健診受診者のエイズの認知状況と保健情報源に関する調査
福田 英輝
1
,
多田羅 浩三
1
,
Singh Saudan
1
Singh Saudan
1
1大阪大学大学院医学系研究科社会環境医学講座
pp.75-79
発行日 2004年1月1日
Published Date 2004/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100342
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インド・デリー市の人口は1,378万人と報告されており(2001年国勢調査),1991年の人口と比較して約1.5倍の増加がみられた.急激な人口増加の結果,多くのスラム地区が形成されることになり,デリー市民の約19%がスラム地区住民であるとされている1)(同国勢調査).さらに,スラム地区住民の識字率は非常に低いことが示されている(同様).デリー市住民の識字率は男性が87%,女性が75%であったが,デリー市内のスラム地区住民の識字率は男性が63%,女性が48%であり,スラム地区に在住する女性の約半数は読み書きができない.スラム地区在住の住民を対象にした保健サービスにおいては,文字情報に依拠した実施方法のみでは不十分であり,多様な方法について検討や工夫が必要である.
スラム地区住民における学歴の現状,経済状態,エイズという病名の認知の程度,保健情報の入手先の現状,および各状況の関連などを明らかにすることにより,今後の検討に資する知見を示すことを目的として,デリー市のシャダラ北部ゾーンのスラム地区にあるゴクルプリ・アーバン・ヘルスセンター(Gokulpuri Urban Health Center)の協力を得て,当施設において実施されている妊婦健診の初回受診者を対象に調査を行ったので,本稿にて報告する.
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