特別寄稿
SARSの臨床ウイルス学的考察
藤井 毅
1
,
岩本 愛吉
1
1東京大学医科学研究部付属病院感染免疫内科
pp.46-50
発行日 2004年1月1日
Published Date 2004/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100341
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近年,様々な病原微生物による新興感染症(Emerging Infectious Diseases)が出現し,社会的な問題となっているが,昨春,突如世界的なアウトブレイクを起こしたSARS(severe acute respiratory syndrome:重症急性呼吸器症候群)は,社会にこれまで以上に大きな衝撃を与えた.その理由は,本疾患がヒト-ヒト間で容易に感染を起こして,現代の国際化社会の中で一気に世界各地に広がったことと,約10%という高い死亡率にあると思われる.
2003年7月5日に世界保健機関(WHO)は,世界中でSARSの集団発生が封じ込められたことを宣言した.11月現在,新たな流行は見られていないが,今後再び流行する可能性は高いと考えられており,引き続いて十分注意が必要である.SARSに関する疫学的および公衆衛生学的な詳細については,本誌2003年11月号(特集/検証「SARS」)にて記載されているため,本稿では特に,臨床ウイルス学的な観点よりSARSについて概説する.
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