特集 「食育」の時代へ
食でつながる人と人―人と自然の豊かな関係性
結城 登美雄
1
1(有)タス・デザイン室
pp.373-376
発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100299
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家族の始原
「Family」という英語は,ラテン語の「Familia」から派生したもので,いまでは「家族」と訳しているこの言葉の語源をさかのぼっていけば,「一緒に耕す者たち」,すなわち「Farmer」という語につきあたるという.十数年前,初めてそのことを知ったときの静かな感動は,今も忘れがたい.ゆらぎ,漂い,果てしなく分解していくかに見える現代の家族.思えば家族も,ずいぶん遠くまで来てしまっている.そんな思いしきりの中で,「一緒に耕し,一緒に食べる者たち」.それが家族の始原であることを知った.
スローフード,地産地消,食の安全・安心,食料自給率の低下….そして「食育基本法」の施行.食に対する様々な関心とその高まり.だが,それらのありようを考えるためには,もう一度,家族と食の始原を改めて問い返しておく必要があるのではないか.
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