特集 「健康格差社会」とセーフティネット
失業の健康影響と失業者の保健対策の課題
石竹 達也
1
1久留米大学医学部環境医学講座
pp.110-114
発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100237
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長引く不況によりわが国の完全失業率が急増し,ピーク時の2002年には失業者も350万人(完全失業率5.4%)を超え,失業はわれわれにとって特別なものではなくなった.今年9月の完全失業率(労働力調査速報値)は4.2%と改善してきてはいるが,若年者では10%と依然高く,中高年者では1年以上長期失業が40%を超すなど,再就職が厳しい状況にある1).
失業問題は雇用促進という経済的側面だけでなく,会社の倒産や解雇に伴う中高年の自殺者の増加も指摘されるなど,重大な社会問題となってきている.労働力確保の観点から失業者は貴重な「就労待機者」であり,失業中の健康管理や疾病管理が適切に実施されれば,よりスムーズな再就職が期待される(図).しかし,現行の産業保健システムでは,原則的に就業者を対象としており,失業者は定期健康診断などの保健サービスを享受できない状況にある.
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