連載 Health for All―尾身茂WHOをゆく・21
鳥インフルエンザの課題
尾身 茂
1
1WHO西太平洋地域事務局
pp.944-945
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100205
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今回は,最近,連日マスコミで報道されている鳥インフルエンザについて,前回本誌69巻5,6号で話した続きを話そう.
今年7月にわれわれWHO西太平洋地域事務局がFAO(国連食糧農業機関),OIE(国際獣疫事務局)と共同で開催したクアラルンプールでの会議の後,幸いにも鳥インフルエンザに関する国際社会の関心が俄かに高まっていった.例えば,9月14日にアメリカのブッシュ大統領はニューヨークの国連特別首脳会議の演説で鳥インフルエンザ対策の重要性に言及した.また,期せずして,鳥インフルエンザの家禽類への拡大は,10月に入り,トルコ,ルーマニアなどのヨーロッパ各地へと広がり,マスコミでも大々的に報道され,鶏肉の売上が急速に落ちるなど,人々の間でも動揺が広がっていった.そうした中,私は,10月24日からコペンハーゲンで開催された鳥インフルエンザ拡大防止のための,EUとWHOヨーロッパ地域事務局との共同会議に参加した.
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