特別記事
[鼎談]「New Public Health」を求めて
坪野 吉孝
1
,
三砂 ちづる
2
,
尾身 茂
3
1東北大学公共政策大学院(健康政策学)・東北大学大学院法学研究科
2津田塾大学学芸部国際関係学科
3WHO西太平洋地域事務局
pp.980-987
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100204
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坪野(司会) 今日は『「New Public Health」を求めて』という大きなテーマです.資料は,昨年6月の『ランセット』に掲載された論文「Public Health in the new era; Improving health through collective action」の内容(まとめ)なのですが,WHOの研究者,『ランセット』編集長,そしてロンドン大学衛生熱帯医学大学院の教授が共著です.この論文の主張の当否などいろいろ議論があるかと思うのですが,私は個人的に,非常に切実な思いで読みました.
私自身医学部を卒業して臨床のことを一通り終えたら,医療政策をやりたいと思っていました.それで公衆衛生の大学院に入りましたが,限られた期間に医療政策の論文を書いて学位をもらうのは非常に難しい.まずは原著論文を書く力を身につけようと,伝統的な疫学の勉強をしているうちにそれが面白くなって,そのまま研究者になってしまった.だからこの論文を読んで最初に思ったのは,「お前の初志はどこへ行ったのだ.医療政策をやりたくて公衆衛生に入ったのではないのか」と,問い掛けられた気がしたことが第1点.
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