特集 自然災害と公衆衛生活動
東海地震に備える―静岡県における広域医療搬送
村上 昌弘
1
1静岡県健康福祉部医療室
pp.471-473
発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100104
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静岡県では,切迫した東海地震の発災に備え,全庁をあげて対策に取り組んでいますが,本稿では医療救護対策について,特に,広域医療搬送訓練を中心に紹介したいと思います.
なぜ,広域医療搬送か
静岡県が平成13年5月に公表した「東海地震の第3次被害想定」は,それまでの想定を大きく上回るものとなり,予知なく発生する最悪のケースでは死者約6,000名,重症者1万9,000名にも達し,医療機関の被災も考慮すると,すべての負傷者を県内の医療機関で収容しきれない事態もあると考えられました.こうしたことから,静岡県では,医療救護ワーキンググループを組織して検討を進め,Preventable Death※1の減少,重症患者※2の予後の改善を基本目標に,航空機を利用して,重症患者を被災地外へ広域搬送,超早期に被災地外から医療チーム等を確保し,被災地の医療機関に投入を基本戦略とする,広域医療搬送体制の整備を進めています(※1:迅速に収容・治療することにより避けられる死,※2:生命を救うため,直ちに手術等入院治療を必要とする患者).
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