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特集 救急患者の取扱い方
東京都における救急医療の現状
The present situation of medical first-aid organization in Tokyo
鳥羽 和博
1
,
小池 昇
1
Masahiro TOBA
1
,
Noboru KOIKE
1
1東京都医師会
pp.912-916
発行日 1967年7月20日
Published Date 1967/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204344
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はじめに
医療制度調査会答申および昭和39年4月の消防法改正をうけて救急医療対策の責任が厚生省に移つたので,都道府県の段階ではそれら衛生局(部)に行政上の責任が移されたことになる.また救急病院などを定める厚生省令の公布を機会として救急医療が大きく医師会活動の一環として包含され,救急患者発生の際は救急担当の有無にかかわらず,もよりのしかるべき病院・診療所において初療を加えることが原則となつた.救急医療を論ずる場合,以上の2原則を忘れてはならない.ややもすれば救急病院・診療所の取り扱うケースが救急医療であるという錯誤が先行して論議が行なわれる場合もみうけられるが,救急病院・診療所における取り扱い例は正しい意味の救急医療の限られた一部であることを銘記しなければいけない.現行の法の上では救急病院・診療所とは単に消防庁の救急隊が患者を搬送することを規定された病院・診療所にすぎない.もちろん救急病院・診療所がただ法の上の義務を果たせば良いというものではなく,医療施設の社会的使命という立場から,不時に発生するあらゆる傷病に備えて万全の態勢を整えているのが現状である.その根底にあるのは社会に対する医師の使命感である.
国および地方公共団体が狭い救急医療の観念から出発して,いわゆる救急センターの設立さえ行なえば救急医療の義務を果たしたような考えにとらわれるならば,すこぶる片手落ちな態度であるといわなければならない.
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