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経緯
わが国の医療安全対策は,平成14年4月に医療安全対策検討会議が策定した「医療安全推進総合対策」,および,平成15年12月に厚生労働大臣から出された「医療事故対策緊急アピール」に基づき,医療機関における安全管理体制の整備,ヒヤリハット事例の収集,医療安全支援センターの整備等が行われてきた.また平成16年10月に,第三者機関(日本医療機能評価機構)による事故等事案の収集事業が開始され,わが国における医療安全対策の体制整備の大きな枠組みができたことから,今後については,これまでの施策を適切に実施するとともに,医療の透明性の確保と医療の質と安全・安心をさらに高めていくための具体的な施策を実施する必要がある.
19学会の共同声明
こうした中で,平成16年2月,日本内科学会,日本外科学会,日本病理学会,日本法医学会の4学会が,「診療行為に関連した患者死亡の届出について~中立的専門機関の創設に向けて~」と題した共同声明を出した.さらに同年9月には,これら4学会を含め,日本医学会の基本領域19学会から同じ趣旨の共同声明が出された.
この共同声明には,医療の安全と信頼のためには,予期しない患者死亡が発生した場合や,診療行為に関連して患者死亡が発生したすべての場合について,中間的専門機関に届出を行う制度を可及的速やかに確立すべきであること,届出制度を統括するのは,第三者から構成される中立的専門機関が相応しいこと,このような機関は,死体解剖を含めた諸々の分析方法を駆使し,診療経過の全般にわたり検証する機能を備えた機関である必要があること等が唱われており,19学会が,所管の省庁や他の関係団体等と連携し,あるべき医療関連死届出制度と中立的専門機関の創設を速やかに実現するために,結集して努力するとの決意が示された.
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