連載 リレー連載・列島ランナー・45
専門機関が少ない地域での療育支援の取り組み
木村 直子
1
1新潟県南魚沼市役所福祉保健部保健課
pp.1001-1004
発行日 2012年12月15日
Published Date 2012/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102617
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はじめに
南魚沼市は,新潟県の南部,群馬県境に位置し,3町から平成16,17(2004,2005)年の2度の合併を経て誕生し現在に至っています.人口約6万1,000人,高齢化率は約26%,少子高齢化が進む山間地で,医療機関は県立,市立の他,民間病院と個人医院がありますが,深刻な医師不足の問題を抱えることは例外でなく,加えて小児科の専門医も少ない状況です.
療育の場としては,市立病院での言語療法の活用は可能ですが,訓練の頻度は十分ではありません.療育を必要とするお子さんは,遠方への通院や通所訓練を余儀なくされています.行政で行っている月2回の療育教室では,入園までの支援に限られています.保健分野でも早期発見の精度を高めるべく問診票や健診システム充実に努めてきましたが,発見後の支援体制が整っていないことから,逆に保護者の不安と負担を増大させる結果となっていました.
学校現場で支援困難な児童には支援会議を開いて対応していましたが,自尊心を失い二次障害を伴ってからの改善が困難であることは,誰もが経験のことと思います.さらに青年期での不適応や,法を犯した事例から,幼年期の支援の不十分さや,義務教育後の支援の途切れが原因と思われるものも多く,早期の見立てと継続的な支援の大切さを痛感せざるを得ない状況が続いていました.
当市では,子ども・若者育成支援推進法の制定を機に,関係部署全体でこれらの課題に取り組んで5年目となりましたので,その成果と課題についてご報告したいと思います.
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