特集 産科混合病棟の生存戦略 産科管理加算でどう変わるか・変えていくか
産科混合病棟における診療報酬加算と倫理的課題
手島 恵
1,2
1東京医療保健大学 看護学研究科
2国際看護師協会
pp.420-424
発行日 2026年10月25日
Published Date 2026/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134781680800050420
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産科管理加算の新設—政策的背景と意義
日本では,少子化の進展により妊婦数が減少し多くの医療機関で産科病棟を単独で維持することが困難になり,病院の経営的理由から稼働率を上げるため産科患者と他診療科患者を同一病棟に収容する「産科混合病棟」が拡大してきた。日本看護協会が2023年に報告した実態調査では,21.7%の施設で混合病棟に男性患者を受け入れ,42.2%で産科区域を特定しておらず,34.7%の助産師が産科と他科患者を同時に受け持ち,16.2%の助産師が分娩第2期でも助産師によるケアが中断することが「いつも」あると回答したと報告されている1)。
こうした課題をふまえ,2026年度診療報酬改定では「母子の心身の安定・安全に配慮した産科における管理」や「妊娠・産後を含む継続ケアを行う体制」を評価する新設項目として産科管理加算が設けられ,病院では1日につき250点,有床診療所では50点が算定できることとなった。施設基準では,分娩を実施し妊娠期から産褥期にかけて母体・胎児・新生児を管理する病棟(他科患者を併せて受け入れる混合病棟を含む)を有すること,母子の安定・安全の確保を図れる十分な療養環境を備えることなどが求められている。これは,混合病棟における「産科区域の特定」といった構造的対応を診療報酬面から後押しする初の本格的な評価と位置づけられた2)。この加算はあくまで「最初の一歩」である。助産師の配置基準の不在や役割の曖昧さという根本的課題は依然として未解決であり,診療報酬による構造的後押しと倫理的実践との接続が今後の課題として残る。

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