特別記事
患者役割からの解放と共同体自治
荒井 和樹
1,2
1NPO法人全国こども福祉センター
2愛知文教女子短期大学
pp.486-491
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134327610280060486
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公共空間がもたらす解放的な環境でのアウトリーチ活動
全国こども福祉センター(以下、センター)は、子ども・若者や路上生活者が名古屋駅前に集い、交流の拠点を築きながら、通行人や広場の利用者等に対して声かけ活動を行うNPO法人です。活動の舞台も、施設や病院といった限定的な空間ではなく、広場という開かれた環境でアウトリーチ実践を続けています。ここでは、支援や相談援助、課題解決等を目的とせず、「ともに居る」ことを大切にしています。
世間一般的な援助機関は、施設や病院で、保育士や介護福祉士、看護師といった専門職が支援を行いますが、センターでは、子ども・若者や路上生活者が活動の主体となり、長期的なコミュニティを築きながら、共同体を運営しています。活動の最前線に立ち、声かけや募金活動を行ったり、参加者同士で交流したりしているのは、精神疾患や発達障害を抱える子ども・若者や、路上生活を経験した若者など、さまざまな背景を持つ参加者たちです(写真1)。

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