特別記事
「解離症患者」と共に居るための、ささやかな序章
新谷 宏伸
1
1明雄会本庄児玉病院
pp.496-505
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134327610280060496
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Ⅰ.離隔と区画化
30歳の女性患者ミサが問診票に託した主訴は3つだった。「1.計画を立てていると、何のきっかけもなく、突然どーんって、すべてが嫌になる。2.ずっとどこにいても、誰かから監視されている感じがする。3.ウェブの中にいるようで孤独感を感じる」。
他院から紹介されてきて、今日はここ、ナギ・メンタルクリニックでの初診日だ。紹介状には「診断名:解離症。21歳で結婚し、26歳で離婚。挙児なし」と書かれている。精神科医のナギヒトが、ごく簡単に自己紹介をし、「話したくないことは、くれぐれも話さないようにしてください」という前置きを伝え、「困りごとについてあなたの言葉で改めて教えていただけますか」と自由回答式の質問を投げかけると、ミサは以下のように開陳した。

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