特集 減薬をめぐる現実
—[Column]—薬物療法の神話から脱すること
高木 俊介
1,2
1たかぎクリニック
2京都・一乗寺ブリュワリー
pp.484-485
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134327610280060484
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医師は長年「処方」にアイデンティティがあった
自分の処方行動について面と向かって問われると、多くの思いが頭の中を駆け巡り、胸中、戸惑いと割り切れなさの感情が湧いてくる。そう、医者は薬を出すのが、仕事。現代のさまざまに分かれた専門や多種多様な職種による分業制度のなかでは、特にそうだ。「診断する仕事もあるではないか」と慰めてくれるかもしれないが、診断は薬を選ぶための目安でしかないフシがある。特にその診断すらアヤフヤな精神科では。
「精神科の診察には、精神療法という何やら奥の深そうな“治療”があるでしょう。何も薬にばかり頼っているわけではない」。そう言われるし、そう思いたい。思いたいが、精神科医だから精神療法に通じている……わけがないのは自分が一番よく知っている。
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