連載 偶然、でくわす精神療法—「いつものケア」からこぼれる小さなセラピー・5
「制度による作業療法」は、世界を再構築する治療になる
橋本 和樹
1
1京都博愛会病院
pp.430-434
発行日 2025年9月15日
Published Date 2025/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134327610280050430
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「施設」の作業療法と「制度」による作業療法
今回は、作業療法の話をしようと思う。作業療法には、おおまかに分けて2つの立場がある。1つは医学モデルの作業療法。医学モデルとは、端的に言えば、障害がある患者1に、治療の目的で作業を用いて介入するというものである。このとき、その人を取り巻く環境にアプローチするということはあり得ても2、基本的に問題のありかは、患者にあるという立場である。これは普通の「精神医学」的な立場とも共通するものである。
そのカウンターとして、もう一方に社会モデルがある。これは障害をもつひとが、暮らしにくい社会自体に問題がある、とする立場である。医学モデル=精神医学ならば、この立場は、その問題が患者ではなく、社会とその装置である精神病院にあるというような「反精神医学」的な立場とも近い考え方と言えるだろう。

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