特集 トラブルの解きほぐし方と立て直し方
【Case 6】「気難しい印象」が誤解を招いたコミュニケーショントラブル—家族の声を聞くことが、支援の扉を開く
山崎 佳子
1
1千葉大学大学院看護学研究科博士前期課程
pp.450-452
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134170450300060450
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トラブルの概要
70代女性のAさんは肝臓がん末期で、80代の夫と二人暮らしでした。長女は近所に住んでおり、介護に協力的でした。これまで市内の公立病院に通院していましたが、病状が進行し腹水がたまり、倦怠感が強くほぼ寝たきりの状態となってしまったため、病院の相談室から訪問看護ステーション併設の居宅介護支援事業所に相談がありました。ケアマネジャーが訪問し、「訪問看護が必要」と判断したためサービス導入が決まり、初回訪問の調整を行いました。
初回訪問の日時を伝えるためAさん宅に電話をしたところ、夫が出て対応してくれました。車で訪問する旨を伝え、駐車場所について尋ねた際、夫は「それじゃ、うちの車を売ってくるからいいよ!」と言い、電話を急に切ってしまいました(Aさん宅には駐車スペースが1台分しかありませんでした)。私はこの対応に驚き、すぐにケアマネジャーを通じて長女に連絡を取り、初回訪問の約束と駐車場所の情報を得ました。訪問時、Aさんは体調の影響で言葉少なでしたが穏やかで、長女は「できることはやります」と介護に積極的でした。

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