症例カンファレンス
生検予定の小児の前縦隔腫瘍
渡部 達範
1
,
山本 菜都美
2
,
木村 聡
2
,
中村 信人
3
,
桜井 由佳
4
,
戸田 雄一郎
4
Natsumi YAMAMOTO
2
,
Satoshi KIMURA
2
,
Nobuhito NAKAMURA
3
,
Yuka SAKURAI
4
,
Yuichiro TODA
4
1新潟大学医歯学総合病院 麻酔科
2京都大学医学部附属病院 麻酔科
3神奈川県立こども医療センター 麻酔科
4川崎医科大学附属病院 麻酔・集中治療科
pp.1041-1057
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320111041
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前縦隔腫瘍の生検の麻酔を担当することになった。CTを見ると,心臓の前いっぱいに広がる腫瘍。気管や大血管の圧迫も疑われる。しかし本人は割と元気そうで,普段の生活に支障はないとのこと。ならば普通に麻酔できるだろうと判断した。
手術当日。通常どおりに導入を進めたその瞬間,換気は困難になり,サチュレーションは低下。挿管は成功したものの換気はできず,緊急にECMOが必要な事態になるも,大丈夫だと思っていたのでどこにも相談していなかった…。症状の軽さに油断してしまった…。
前縦隔腫瘍の麻酔は,ほんの小さな判断の差で,命に直結する危険が潜んでいる。今月の症例カンファレンスでは,小児の気管を圧迫する前縦隔腫瘍に対する生検術をテーマに,麻酔方法の選択,ECMOの準備範囲など,施設ごとの対応の違いを示していただいた。大学病院,小児病院,それぞれの対応を比較しながら,麻酔方法やどこまで事前準備を行うかなどを一緒に見ていきましょう。

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