徹底分析シリーズ 添付文書:わかったつもりから本当の理解へ
巻頭言
田上 大祐
1
1上尾中央総合病院 麻酔科
pp.485
発行日 2025年5月1日
Published Date 2025/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320050485
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医療と医薬品は切っても切れない。なかでもわれわれ麻酔科医にとって医薬品はあらゆるシーンで必要不可欠な存在である。医薬品を適切に使用することは安全な医療を患者に提供することにつながるため,われわれは添付文書を活用する。
だが振り返ってみて欲しい。日々の多忙な業務の中,添付文書の情報量の多さから,必要とする項目のみにアクセスすることで,読み飛ばしている内容や見逃している情報はないだろうか。添付文書を完成された唯一無二の文書と過信し,添付文書の内容だけで満足,納得している面はないだろうか。小児や妊婦などの特定の背景を有する患者への注意書きを過剰に懸念するあまり,適切な薬物選択ができずに尻込みしていないだろうか。海外の論文や学会発表を根拠に,添付文書の内容から逸脱した使用を試みていないだろうか。
添付文書は紛れもなく完成された公的文書である。しかし,あらゆる疑問に応える完璧な文書ではない。われわれは自ら考え,時に自らの解釈をもとに医薬品を使用する。添付文書という公的文書を前にわれわれ医師の裁量はどこまで認められるのだろうか。
今月の徹底分析シリーズは,添付文書にまつわるこれらの現状をふまえ,あらためて一から,ゆっくり腰を据えて添付文書と向き合い,添付文書への理解を深め,添付文書をより一層信頼のおける相棒として日々の臨床に活用すべく企画したものである。
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