連載 ウェルビーイングが導く患者中心の医療の未来・10
臨床における対話とウェルビーイング
孫 大輔
1
,
清水 幸裕
2,3
,
前野 マドカ
4
,
秋山 美紀
5
1鳥取大学医学部地域医療学講座
2特定医療法人財団五省会 西能病院 内科
3前南砺市民病院
4EVOL株式会社
5慶應義塾大学環境情報学部
pp.178-181
発行日 2026年2月10日
Published Date 2026/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091713550360020178
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ある診察室の出来事 対話が生んだ変化
数年前,私は腹部不快感と不安を訴える30代前半の女性患者を診た。検査では異常はなく,複数の医療機関を受診しても明確な説明が得られなかったことから,患者は「原因が分からない」こと自体に強い恐怖を抱えていた。以前の医療機関でCT検査を受けた際,「本当に必要だったのか」と不信感を抱き,その不安が何か月も消えないまま症状と絡み合っていた。
初診には家族が同伴しており,家族もまた患者のつらさを理解しきれず,しかし助けたい気持ちから医療機関を次々と受診させてきた経緯があった。患者も家族も,それぞれの不安を言語化できずに抱え込んでいたため,かえって互いの間に緊張が積み重なっていた。

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