連載 これからの臨床現場を支えるために COVID-19を経験した米国の看護現場から・44
シェアド・ガバナンス活動を通して院内心停止における患者アウトカムを向上させる・2
岩間 恵子
1,2
1ペース大学
2マウントサイナイ モーニングサイド病院
pp.716-719
発行日 2025年8月10日
Published Date 2025/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091713550350080716
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一般病棟におけるIHCA対応の問題点
米国における院内心停止(In-Hospital Cardiac Arrest,以下,IHCA)は年間約29万件と推計されていますが,予後は悪く,2017年の米国心臓協会(American Heart Association:AHA)のデータによると,蘇生に成功して退院できたケースは全体の25%でした1)。私の働く病院において蘇生に成功し,退院したケースは20%以下であり,AHAの示すデータを下回っています。そして,IHCAの多くは一般病棟で起きています。
IHCAに陥った患者への早期介入が蘇生の成功とその予後に大きく影響しますが,患者の状況を最初に認識し,いち早く蘇生を始めるのは病棟における臨床看護師です。しかしながら,多くの臨床看護師,特に一般病棟の看護師たちがこの対応に,不安やストレスを強く感じています。蘇生時に必要な薬の準備と投薬に慣れていないこと,頻繁に蘇生に参加する機会がないため,蘇生時の手順に慣れておらず不安が多いことなどが,適切で速やかに介入できない理由として,多くの一般病棟の看護師から挙げられました。そこで,シェアド・ガバナンスの一環である「エビデンスに基づく看護と看護研究委員会」において,この問題に改善プロジェクトとして取り組むことになりました(連載第43回参照)。

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