連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・217
あべ弘士 シートン動物記を描く
柳田 邦男
pp.168-169
発行日 2025年2月10日
Published Date 2025/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091713550350020168
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アーネスト・T・シートンと言えば,『シートン動物記』で子どもたちにも広く知られている動物物語作家だ。イギリス生まれだが,30歳代半ばからはニューヨークを拠点に,豊かな自然界に出かけて,様々な動物たちの生態を観察・スケッチして,数多くの動物物語を著し,日本でも広く読まれている。
そのシートン動物記の絵本化に,あべ弘士さんが挑んだのだ。絵本化と言っても,単なる翻訳ではない。シートンが記述した動物たちの物語の絵を,限られた絵本のスペースの中にコンパクトに圧縮して組み込まなければならないし,シートンのスケッチ画に負けない動物の絵を描かなければならない。特に動物の絵が難しい。しかし,動物園の飼育係を20年以上務めたあべさんの筆づかいならできる。私は絵本第1巻の『オオカミ王ロボ』の表紙絵を見たとたんに,唸った。オオカミの王者ロボがこちらを向いて,きびしい目を光らせている。圧倒される。
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