廣澤弘七郎先生を偲ぶ

　2008年6月21日，本誌編集顧問の廣澤弘七郎先生がご逝去，享年85歳でした．この訃報は，私にはあまりにも唐突でした．そして，童子のように目を輝かせながら，熱っぽく学問を語り，いたずらっ子のような笑顔で泥坊を捕まえて警視総監賞をもらった話などをされ，確固とした信念に基づくご自身の意見を舌鋒鋭く述べられる先生に再びこの世でお目にかかれないと思うと，寂しさ，哀しさ，懐かしさが同時に沸き上がって参ります．

　先生は東京大学のご出身で卒業の大学も異なり，また循環器病学の碩学であり，私より一回り以上も人生の先輩ですから，私とは接点がないはずでしたが，実は本誌の編集委員としてだけでも，22年余，その謦咳に接することができましたことは非常な幸運でした．