講座 関節拘縮と痛み・第3回
関節包および靱帯に由来する疼痛の病態と関節可動域制限
服部 貴文
1
Takafumi Hattori
1
1神戸学院大学
pp.156-160
発行日 2026年2月15日
Published Date 2026/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540600020156
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はじめに
関節包および靱帯は,従来,関節の受動的安定性を担う機械的支持組織と捉えられてきた.しかし近年,これらの関節構成体には豊富な侵害受容器が存在し,疼痛や関節可動域制限の病態形成に深く関与することが明らかとなっている.これは,関節可動域の低下が単なる「物理的硬化」の結果ではなく,神経生理学的変化を伴う病態であることを示唆している.
また,関節疾患においては,構造変化の程度と疼痛症状の不一致(structure-symptom discordance)が指摘されており,その背景には,炎症反応に加え,末梢性・中枢性感作を中心とする免疫・神経系の変化が関与すると考えられている.さらに,変形性関節症や外傷後の関節では,関節包の線維化と痛覚過敏が並行して進行することも報告されており1),疼痛と可動域制限の双方を包括的に理解することが重要である.
作業療法は,日常生活活動や意味のある生活活動を基盤とした介入を通じて,疼痛と機能障害の双方に働きかけることができ,身体的アプローチにおいても重要な役割を担う.そこで本稿では,関節包および靱帯の構造と神経支配,さらに疼痛および関節可動域制限に対する臨床的評価とその対応について解説する.

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