Japanese
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特集 刑務所における作業療法士たちの挑戦
近年の刑務所での受刑者処遇の変化と作業療法士への期待
Recent changes in inmate trearment in prisons and the growing expectations for occupational therapists
西岡 慎介
1
Shinsuke Nishioka
1
1府中刑務所
pp.1402-1403
発行日 2025年12月15日
Published Date 2025/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540590131402
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Key Questions
Q1:拘禁刑の創設目的とは?
Q2:拘禁刑下で求められる刑務所の役割は?
Q3:刑務所において新たに作業療法士に期待されることは?
はじめに:拘禁刑の創設
2025年(令和7年)6月1日,従来の懲役刑,禁固刑を廃止し,「拘禁刑」を新たに創設する改正刑法が施行された.刑罰が改正されるのは,明治以来115年ぶりのことであったことから,マスコミ報道等では,「“懲らしめ”から“更生支援”へ」といったキャッチコピーが付され,当所の取り組みもテレビや新聞等で紹介されたところである.
これまで刑務所受刑者のほとんどを占めていた「懲役」は,作業が刑の本質的要素とされ,どの受刑者に対しても一律に一定の時間を作業に従事させなければならなかった.しかし,受刑者の中には,高齢で身体機能や認知機能が衰えている人,知的障害や発達障害があるのに福祉につながっていない人,義務教育すらろくに受けていない人などがたくさん存在する.こうした人が円滑に社会復帰し,再犯に至ることがないようにするためには,刑務作業以外にも,個々の受刑者の特性に応じた柔軟な処遇を行う必要がある.拘禁刑は,刑務所の中において,作業,改善指導,教科指導といった各種矯正処遇をニーズに応じて組み合わせ,受刑者それぞれの改善更生・再犯防止を一層効果的なものとするために導入されたものである.
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