連載 自助具のつくり方,選び方・第3回
生活用具や市販自助具の改良・加工
松元 義彦
1
Yoshihiko Matsumoto
1
1株式会社カクイックスウィング 鹿児島中央営業所
pp.1332-1336
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540590121332
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はじめに
自助具は,必ずしも用具だけを指すわけではありません.たとえば,上着のボタンを面ファスナーへ変更して留めやすくしたり,握り柄へのすべり止め加工等,生活用具に対する工夫や改良も自助具の範ちゅうに含まれます.今回は,生活用具が使用しづらい場合や市販自助具がそのままでは適合しない場合の部分的な改良や加工について,活用しやすい材料や使用法,具体例を紹介します.
部分的な改良や加工の方法には,すべり止め加工や太柄加工等があります.すべり止め加工は,筋力低下等により把持力やピンチ力が低下している場合に,すべり止め加工を行うことで摩擦力を高めて把持力やピンチ力を効率的に伝えることができます.太柄加工は,手指の変形や可動域の制限等により,握り柄と皮膚面が十分に接触しないために操作しにくい状態を,太柄にすることで皮膚との接触面積を広げ,さらに握り柄の中心部までの距離が延びることで回転モーメントが増大し,握り柄をコントロールしやすくなります.
以下に,すべり止め加工や太柄加工に使用できる材料と使用例を紹介します.

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