増刊号 就学・就労支援
第3部 はたらく:就労
第1章 作業療法に係る就労支援の現状
1 作業療法(士)と就労支援—作業療法士がかかわる就労支援領域
金川 善衛
1
Zen'e Kanagawa
1
1特定非営利活動法人日本学び協会 ワンモア八尾
pp.862-864
発行日 2025年7月20日
Published Date 2025/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540590080862
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
近年,就労支援に係る作業療法士が増えている.私たち作業療法士は病気や障害等により生活に支障をきたしている方に接するが,その中で再就職,職場復帰,福祉的就労,起業等,就労に係るニーズへ対応する機会も増えてきている.障害者や高齢者,病気の治療が必要な方など,これまで就労困難者と呼ばれていた方も,年齢や病気,障害関係なく「働く意欲のある人は働く」社会になるよう,国の制度施策でも後押しをしている背景や世の中の不況感もあり,働くニーズをもつ方が増えてきていることもあるだろう.そのようなクライエントに接する際,以前であれば,作業療法士自身の就労ニーズに対するリハビリテーションのイメージの難しさもあり,積極的にかかわることは多くなかったと思われる.ただ近年は,研修や情報収集をする機会も増えてきたこともあり,積極的に取り組む作業療法士も増えてきている印象もある.また,作業療法士が接する就労ニーズには,予防の観点も含まれており,産業保健や健康経営といった分野での活躍を目にする機会も増えた.
本号を読んでくださっている方の中に就労支援に関心や興味をもってくださっている方が多くいると思われる.就労支援は多くの作業療法士の中ではまだ「よくわからない」という,なじみがない分野であり,これから理解を進めていく段階である.その理解を進めていくために,本号が皆さんの一助になることを目的に以下のポイントを意識した.
1.作業療法士のかかわる就労支援に内包されている領域を整理する
2.各領域について,実態と必要な知識と実践的方法論を理解する
3.作業療法の専門性にこだわらず,就労支援で求められる知識・スキルを紹介する

Copyright © 2025, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.