増刊号 就学・就労支援
第2部 まなぶ:就学
第4章 就学に必要な環境調節—横断的視点から
3 就学に向けたADL評価と支援
東恩納 拓也
1
Takuya Higashionna
1
1東京家政大学
pp.843-847
発行日 2025年7月20日
Published Date 2025/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540590080843
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はじめに
「作業」とは,対象となる人々にとって目的や価値をもつ生活行為を指す1).そのため,作業療法においてADLに焦点を当てた評価と介入は重要である.
子どもたちは,ライフステージが変わることで,期待される作業や求められる作業が変化する.特に小学校への就学は,園から学校という明確な環境の変化だけでなく,生活の場から教育の場へ,その環境で行う活動の意味も変化する.しかし,子どもたちの中には,さまざまな要因によって就学後に必要なADLの獲得や遂行が妨げられるケースがある.故に,作業療法士が就学前後でのADLの変化を理解し,対象児に対して就学に向けたADLの評価と介入を実践することは重要である.
就学支援に万能なADLの評価と介入はない.重要なことは,学校という環境で対象児にとって重要なADLは何かを的確に把握し,対象児にとって楽しい学校生活を実現するために,ADLの自立度や遂行度,満足度,参加を向上させることである.
特に日本の場合,発達領域の作業療法では,学童期よりも幼児期の子どもを対象にすることが多く,就学を機に作業療法が終了したり,介入の場所や頻度が変わったりすることがほとんどである.就学に向けたADLの評価と介入は,日本における作業療法の提供体制を踏まえても重要であるといえる.
本稿は,就学に向けて重要なADLについて述べたうえで,その評価と介入を概観し,同知識と技術の発展に寄与することを目的とする.

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