増刊号 就学・就労支援
第2部 まなぶ:就学
第3章 就学期のかかわり
5 就労継続支援B型の実践を基にした職業準備教育の展望—放課後等デイサービスでの早期介入の必要性
鎌田 亜希
1
Aki Kamada
1
1障害福祉サービス事業所SOI STANCE(ソイスタンス)
pp.827-831
発行日 2025年7月20日
Published Date 2025/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540590080827
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
障害者の法定雇用率が2024年(令和6年)4月に2.5%(2026年には2.7%)に引き上げられる等,近年,企業には積極的な障害者雇用が求められている.しかし,最低賃金の上昇や労働環境の変化により,企業が求めるスキル水準が高まり,障害者の就職は依然として困難である.こうした状況の中で,特別支援学校における職業教育の重要性はいっそう高まっている.厚生労働省の「令和4年版 厚生労働白書」1)によると,特別支援学校卒業生の約6割が福祉的就労(就労継続支援A型・B型等)を選択し,一般就労へ直接移行する割合は約30%にとどまる.就労移行支援事業所の一般就労移行率が5割であるのに対し,就労継続支援B型(以下,就B)からの移行率はわずか1割と低く,就職支援が十分に機能していない.これらを踏まえ,特別支援学校では企業が求めるスキルを意識した職業教育の強化が求められる.また,福祉的支援事業所では,適切なアセスメントや関係機関との連携を強化し,一般就労へのステップアップ支援体制を整えることが必要である.
本稿では,当事業所創設の経緯を踏まえ,就Bからの就職事例,特別支援学校の実習を通じた課題を通して,就労に必要なスキルや支援のあり方を考察し,今後の職業教育における指導方針の検討に寄与することを目的とする.

Copyright © 2025, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.