特集 非がん患者の緩和ケア
コラム:—私にとっての緩和ケア—緩和ケアから学んだ今を生きることを支える作業療法
田中 一彦
1
1松阪中央総合病院
pp.667
発行日 2025年7月15日
Published Date 2025/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540590070667
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今から35年前の話です.私は,急性期病院に就職して数カ月目で担当患者の死に直面しました.脳腫瘍の患者で,週明けに訪室すると不在で,看護師に尋ねたところ状態が急変したとのこと.当時の私は心身機能やADLの改善を目指すことに力を入れており,緩和ケアや終末期ケアの概念は念頭にありませんでした.
当時は,終末期と判断されるとリハビリテーション終了の指示が出ることが少なくなく,「死」との場面に直面することは減少しましたが,その後,筋萎縮性側索硬化症,多発性硬化症等,進行性疾患の患者とのかかわりを通して,「不安軽減の対応」や「人工呼吸器の装着,気管切開をした場合のコミュニケーションの対応」に難渋しながら,「生と死」を意識するようになってきました.
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