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特集 地域で子どもたちを支える—「参加」を支援すること
子どもの参加を支援すること
Enabling children's participation
塩津 裕康
1
Hiroyasu Shiozu
1
1名古屋市立大学
pp.536-540
発行日 2025年6月15日
Published Date 2025/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091513540590060536
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Key Questions
Q1:作業療法の主要な成果は何か?
Q2:参加を実現するためのコーチングテクニックとは?
Q3:個人から社会まで多層的な取り組みとは?
はじめに
参加および作業参加を実現するためには? 本稿ではその可能性を探りたいと思う.
世界作業療法士連盟が2010年に出した作業療法に関する声明1)では,「人々が日常生活の活動に参加できるようになること」を作業療法の基本目標として掲げている.ここには,作業遂行の質を改善するだけでなく,「参加」を実現するという要素が含まれている.当然,多くの作業療法士がこの基本目標を達成すべく日々実践している.
一方で,現状はどうか? 実際に神経発達症群(neurodevelopmental disorders:NDDs)を有する子どもの参加状況を調査したところ,定型発達の子どもと比較して低く,特に「学校・地域」の参加状況が低いことがわかった(家庭の参加は大きな差はなかった)2,3).加えて,子どものQOLと参加の関係性をみると,「学校・地域の環境」が子どものQOLを大きく左右することがわかった3).
そのほかに,障害を有する子どもの参加の改善を目的とした介入効果に関するシステマティックレビュー4)では,主に「コーチング」を用いた介入が参加に対して中等度の介入効果があったとまとめている.これらの背景より,以下の検討課題が挙げられる.
1)参加および作業参加に関する知識
2)作業療法士が活用できるコーチングテクニック
3)環境・社会に対するアプローチ
本稿はこの3点の検討課題を軸に,「子どもの参加を支援すること」について整理する.

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